クロアチア

Public Library Juraj Sizorc in Sibenik (exterior)

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ブックフェア/文芸
フェスティバル

Mediart Internationalが立ち上げて2014年にスタートした「Zagreb Book Festival(ザグレブ図書フェスティバル)」の目的は、クロアチアの国内外で文学、読書、マルチメディアの創造性を促進することです。ザグレブ図書フェスティバルは毎年5月にザグレブの街で開催される文学と文化のイベントであり、国内外の大勢の作家が一堂に会します。フェスティバルの目標の1つは、文学分野のあらゆるセグメントに力を与えることであり、それは作家本人、出版社、翻訳者から、本のエンドユーザーである読者にまで至ります。

「Festival of World Literature(世界文学祭)」は、2013年にFraktura Publishing Houseによって立ち上げられました。9月初旬の7日間、クロアチアの都市ザグレブとスプリトが世界文学の中心地となります。新しい作品が発表され、作家たちは自身の小説や他の多彩な話題についてパネルや円卓で議論します。フェスティバルのプログラムに組み込まれるイベントは毎年増えており、国内および世界レベルで非常に重要な文化プラットフォームが具現化されています。イベントの司会を務めるのは一流の文芸編集者、作家、評論家です。

「Sa(n)jam knjige u Istri (Book Fair(y) in Istria)」はクロアチア最大のフェアです。1995年に創設されたこのフェアのために、約250の出版社や作家、編集者、翻訳者、文芸評論家が、冬のプーラに集まります。フェアの基本は異文化主義であり、その目的は文学交流の支援です。イベントは幅広い年齢層を対象とした約100種類のプログラムで構成されます。文学に限らず展示やパフォーマンスやコンサートなどのプログラム形式が維持され、フェアの必要不可欠な要素となっています。

「Lit Link Festival」は、作家、編集者、出版社が参加して7月に開催されるユニークなフェスティバルです。2013年から毎年クロアチアで開催されています。フェスティバルの目的は、地域の文学シーンと世界中の他の文学シーンをつなぎ、双方向翻訳の可能性の拡大に長期的に取り組むことです。ザグレブ、ラビン、リエカのバイリンガルプログラムではそれぞれ、著者が朗読する自身の作品の抜粋がこのために翻訳され、英語とクロアチア語の両方でスクリーンに映し出されます。

「Croatia rediviva ča-kaj-što」は、1991年から7月に開催されているクロアチアの詩のイベントで、クロアチア語のすべての方言の詩人が集まります。このイベントを支えるのは、クロアチア語の三位一体理論、そしてクロアチア語の言語的一体性を示すために3つのクロアチア語方言すべてを統合するという考えです。イベントのハイライトは、最も成功を収めた詩人が選ばれてオリーブの花冠を戴く瞬間です。

文学賞

「Croatia rediviva Ča, Kaj, Što – baštinski dani」フェスティバルでは最も成功を収めた詩人が選出され、オリーブの花冠を戴冠します。この詩人の決定は、創設者と以前のoliveati(戴冠詩人)から成る3人の審査員によって行われます。その後、大理石の板に彫り込む詩を、戴冠した詩人と創設者が選びます。

「Zvane Črnja Award」は、最も優れたクロアチア語の随筆集に与えられるクロアチアの文学賞です。クロアチアの作家であり文化学者であり時事評論家であるZvane Črnjaを記念して、年に一度授与されます。盾と賞金から成るこの賞は2007年に創設されました。コンテストの発表と賞の授与は、クロアチア作家協会がDHK(Croatian Writers’ Association、クロアチア作家組合)のイストリア支部と共同で行います。

この賞はクロアチアの作家や出版社を宣伝する目的で、インターネットポータルであるTportalによって2008年に創設されました。クロアチア語で書かれ、クロアチア共和国の登録出版社から出版された、最も優れた小説の著者に贈られます。受賞者には約950ユーロの賞金とキーボードの形をした像が贈られます。

「Fric Award(フリック賞)」は、クロアチアで初公開されたクロアチア語、ボスニア語、セルビア語、モンテネグロ語の散文作品に毎年授与されます。賞金は1万ユーロで、週刊「Express」紙(クロアチアの新聞)が主催しています。出版社や著者が書籍を7部送ることでフリック賞にノミネートできます。

「Tin Ujević Award(ティン・ウイェヴィッチ賞)」は、クロアチアの詩への貢献に対して授与される賞です。詩人ティン・ウイェヴィッチに因んで名付けられ、クロアチアで最も権威ある賞だと考えられています。1980年にCroatian Writers’ Society(クロアチア作家協会)によって創設されたこの賞は通常、クロアチア語で書かれ、特定の期間に出版された詩集に贈られます。

翻訳賞

「Iso Velikanović Award」は、クロアチア共和国文化省が授与する賞です。2005年に創設されたこの賞は、偉大なクロアチア人翻訳家Isidor Isa Velikanovićに因んで名付けられました。年間賞と生涯業績賞があり、文学作品翻訳の分野における最も優れた業績を表彰します。盾、賞状、賞金から成ります。

DHKP(Association of Croatian Literary Translators、クロアチア文芸翻訳者協会)ではクロアチアの文芸翻訳の質を向上させるために、前年の最も優れた文芸翻訳に毎年賞を授与しています。クロアチアの偉大な文芸翻訳家ヨシップ・タバックの名前を冠したこの賞は、賞状と賞金から成り、DHKPのメンバーのみに授与されます。

文芸レジデンス

ヴェスナ・パルンのポエトリー・レジデンシーは、シベニク=クニン郡で最初のレジデンシーです。クロアチアの詩人ヴェスナ・パルンを称えて創設されたこのレジデンスの目的は、あらゆる人の創造的思考過程における重要な要素、詩に対する姿勢を強化することです。毎年ズラリン島で開催されるこのレジデンスは、2週間にわたって誰にも邪魔されない文学創作の空間と時間を提供します。

欧州連合の「Creative Europe Program(クリエイティブ・ヨーロッパ・プログラム)」から資金提供を受ける「Ulysses Shelter」の目的は、ヨーロッパ各地の文学レジデンシーとの交流ネットワークを構築することです。対象は散文と詩に取り組む若い作家と文芸翻訳者です。作家たちはクロアチアのムリェト島に滞在します。レジデンシーの焦点は、新進作家の読者の増加と国境を越えた移動に当てられます。

DHKP(クロアチア文芸翻訳者協会)は文学翻訳者の利益の増進を目指す芸術協会です。DHKPのレジデンスは、世界中の翻訳者と作家がザグレブに滞在し、クロアチアの文化環境、同業者、出版社、フェスティバルとつながることができるスペースです。DHKPのレジデンシーは、主にクロアチア語から外国語への翻訳に携わる翻訳者と、作品がクロアチア語に翻訳される作家を対象としています。

2007年以来、スプリトのKURS協会は、「Writers in Residence Marko Marulić(ライターズ・イン・レジデンス・マルコ・マルリッチ)」プログラムを主催しており、主に作家に加えて翻訳家や視覚芸術家といった海外のアーティストに、スプリトでの1か月のレジデンシーを提供しています。同時に、レジデンシーのゲストはそれぞれ文学討論の伝統的プログラムで地元の聴衆に紹介されます。国際的な文化の結びつきとして海外の作家に加えて国内の作家も紹介されます。

リエカ市は「Kamov Residency」プログラムを通じて、現代のヨーロッパと世界のクリエイターが、クロアチア、特にリエカの芸術と文化と社会の状況に対する理解を深められるようにしたいと考えています。同時にリエカの市民は、ヨーロッパと世界の芸術シーンを知ることができます。現在の問題に取り組み、重要な社会・国民生活の一部である芸術と文化を促進する機会が、あらゆる種類の芸術に携わるクリエイターに与えられます。

最近日本で出版された
タイトル

『幸せな日々』

ミロ・ガヴラン(著)
ao(絵)
山本郁子(訳)
国土社(2021)

『吹雪の中の列車』

マト・ロヴラック(作)
ささめやゆき(絵)
山本郁子(訳)
岩波書店(2022)