フィンランド

Oodi library, Helsinki, Finland, exterior

記事

フィンランドは読書が盛んな国として知られている。商業出版が爆発的な増加を見せたのは19世紀のことだ。まず国民教育の現場で教科書が必要とされたことが出版業の屋台骨となった。次に、1830年代に出版されたフィンランド民族叙事詩『カレワラ』によってフィンランド語が奨励され、教育現場と報道機関でもフィンランド語の使用が推進された

インタビュー

ブックフェア/文芸
フェスティバル

文学界、特に北欧文学界の著名な代弁者を集めて毎年5月に開催される「Helsinki Lit International Festival(ヘルシンキ文学国際フェスティバル)」では、対話と進歩的な交流が生まれます。海外から招かれたゲストが、フィンランドの作家や文化的インフルエンサーたちとステージ上で会談します。フェスティバルのプログラムは、「Jarl Hellemanns Translation Prize(Jarl Hellemanns翻訳賞)」の授与で幕を開けるのが伝統です。

「Helsinki Book Fair(ヘルシンキ・ブックフェア)」には作家、政治家、ジャーナリスト、芸術家、専門家が毎年集まり、現代の重要な事象について議論します。言論の自由、寛容、人権の尊重は、フェアが最も重んじる価値の一部です。秋の4日間、さまざまなプログラムが行われる複数の会場には世界中から多くの文学関係者がゲストとして登場し、フィンランド文学と前途有望な才能を称えます。Messukeskusの会場では「Wine and Food Dait」も同時に開催されます。

Turku Fair Center(トゥルク・フェアセンター)では、さまざまなフェアとイベントが秋に開催されます。「Turku Book Fair(トゥルク・ブックフェア)」には数多くの出版社に加えて業界を代表する団体と事業者も参加します。フェアでは最新の話題について数々の興味深い議論が交わされるほか、作家とのここだけの出会いを体験できます。トゥルク市で開催されるこのブックフェアは、書籍業界にとって居心地の良い集いの場となっています。

毎年恒例の5日間の詩の祭典は7月上旬に開催されます。1976年に創設されたフェスティバルは、詩、朗読、演劇に焦点を当てています。多様な形態のアートのパフォーマンスに加えて作家との交流会やディスカッションも行われ、驚くべき、愉快な、最新のプログラムであり続けています。Kaukametsä Culture and Congress Centre、市場や劇場、公園やクラブでは詩と音楽のパフォーマンスが行われます。

識字をテーマに掲げる全国的な一週間、「Reading Week(読書週間)」の目的は、識字と読書に関わる現状の課題について情報とコンテンツを提供することです。毎年4月に開催される全国的な行事として、あらゆる世代に文学を伝えることに焦点を当てています。読書週間は、Reading Centre(読書センター)が書籍業界の関係者とともに主催しています。

文学賞

この全国的な賞は、過去3年以内に完成した優れた作品、または当該の芸術分野における長期的かつ優れた活動に対して授与されます。文学部門の「State Prize(国家賞)」は、Finnish State Literature Committee(フィンランド国家文学委員会)から作家と翻訳者に対して授与されます。現在の文学賞は1999年から授与されています。イラストレーション部門とコミック部門賞もあります。

Finnish Literature Society(フィンランド文学協会)では、3年ごとにAleksis Kivi Fund(アレクシス・キヴィ基金)をもとに「Aleksis Kivi Prize(アレクシス・キヴィ賞)」を授与しており、受賞者がフィンランド語で執筆した文学作品を表彰しています。この賞は生涯の業績に対して贈られます。あらゆる創作ジャンルが選考の対象となりますが、特に物語、詩、演劇が表彰されます。1936年以来、アレクシス・キヴィ基金はフィンランドの優れた作家に賞を授与してきました。

Väinö Linna Society(ヴァイノ・リンナ協会)は伝統ある団体としてさまざまな活動を行っています。その活動は作家の生涯と作品に対する会員の関心と、多様で活発な文化的活動を組み合わせたものです。「Väinö Linna Prize(ヴァイノ・リンナ賞)」は1962年からタンペレ市によって授与されています。小説執筆の功績に対して不定期に贈られます。賞金は1万ユーロです。

「Finlandia Prize(フィンランディア賞)」はフィンランドで最も権威ある文学賞です。小説、ノンフィクション、児童・青少年文学の3部門で、優れたフィンランドの出版物に毎年贈られます。賞金総額は3万ユーロです。

1995年に創設された「Helsingin Sanomat Literature Prize(ヘルシンギン・サノマット文学賞)」は、その年の最も優れたフィンランド語小説のデビュー作を表彰します。毎年11月、フィンランドと北欧諸国における最大の定期購読新聞「ヘルシンギン・サノマット」紙の創刊記念日前後に授与されます。賞金は1万5,000ユーロです。

翻訳賞

「ヘルシンキ文学国際フェスティバル」のフェスティバルプログラムは、「Jarl Hellemanns翻訳図書賞」の授賞式で幕を開けます。この賞は毎年、良質な小説の良質なフィンランド語翻訳に対して授与されます。2014年に創設されたこの賞は、翻訳の支援と振興を目的としています。Finnish Book Foundation(フィンランド図書財団)から授与されます。

「State Prize for Foreign Translators(外国人翻訳者国家賞)」は、1975年から翻訳者の優れた業績に対してフィンランド教育文化省によって授与されています。他の言語へのフィンランド文学の翻訳を表彰し、賞金は1万ユーロです。Finnish Literature Export Centre FILI(フィンランド文学輸出センターFILI)の提案に基づき、教育文化省が毎年翻訳者賞を授与しています。

文芸レジデンス

Kivi-talo Foundationの主な目的は、作家の労働条件と機会を改善し、読者との交流ややり取りを拡大することです。Writers’ House Villa Kiviは、ヘルシンキのリンヌンラウル、トーロ湾の近くにある作家と作家協会の拠点です。Villa Kiviは、作家のための14室の作業部屋と、ヘルシンキに短期滞在する芸術家のための3室のレジデンシー用ゲストルームから成ります。

展示期間外には、サルメラの本館の展示スペースを、4人から8人の若手芸術家が使用します。サルメラはこの活動を通じてマンチュハルユの自治体と協力し、視覚芸術、音楽、文学の分野で有望な若手芸術家を支援したいと考えています。芸術家の仕事と居住にお金はかかりません。仕事に取り組める期間は3か月間から4か月間です。

Mustarindaは、Paljakka自然公園の北東の端にあるカイヌー県で2番目に高い丘の頂上にあります。Mustarindaの家屋は、Mustarinda Association(Mustarinda協会)の会員とボランティアによって運営されています。Mustarinda協会は芸術家と研究者のグループとして、社会の生態学的再構築、文化と自然の多様性、芸術と科学のつながりの促進を目指しています。多様な芸術を対象とするレジデンシープログラムでは、お互いをサポートして新たな議論を可能にするさまざまな実践を、ひとつにまとめる努力がなされています。

Saari Residenceは、ミュナマキにあるKone Foundation(Kone財団)によって管理される芸術家と研究者のための国際的なレジデンスです。その使命は、異なる分野の芸術家と研究者に平穏な作業環境と集いの場を提供することです。プログラムの対象は、フィンランド国内外のプロの芸術家、作家、作曲家、翻訳家、キュレーター、評論家、芸術家グループです。キーワードは「遅さ」、「洞察」、「変化」です。

毎年フィンランド内外から何十人ものプロの芸術家が、この芸術制作空間のレジデンスを訪れます。こうした訪問は、公募や各種団体との協力によって実施されています。図書館、ワークショップ用スペース、大型イベントホール、映画館などを備えた建物では、約20人の多様な分野のクリエイターが活動できます。レジデンシーは市の文化事業によって運営されており、滞在できる期間は1か月から3か月です。

最近日本で出版された
タイトル

『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』

ミア・カンキマキ(著)
末延弘子(訳)
草思社(2021)

『アイノとアルヴァ アアルト書簡集』

ヘイッキ・アアルト=アラネン(著)
上山 美保子(訳)
草思社(2023)

『若く逝きしもの』

フランス・エーミル・シッランパー(著)
阿部知二(訳)
みずいろブックス(2022)