チェコ

Castle Kacina, Empire Chateau near Kutna Hora, Bohemia, Czech Republic, public library, interior

記事

19世紀末、近代の発展段階が完了し、(民族の教育あるいは社会における政治闘争の装置という役割を終えたため)文学が「自律的」なものとなったが、チェコ文学はヨーロッパの文脈において両義的な特徴を有していた。

インタビュー

ブックフェア/文芸
フェスティバル

「Svět Knihy Pilsen」は、60社を超える出版社が集い秋に開催される国際的なブックフェアであり文学祭です。充実した文学プログラムには、出版物の発表、著者による朗読、ディスカッション、講義、ワークショップ、演劇公演、コンペティションが含まれます。目的は、現在の書籍生産の全体像を提示することです。現在は2日間で約8,000人が参加しています。

Union of Czech Booksellers and Publishers(チェコ書店出版社連合)に加盟するSvět Knihy社の主な活動には、国際的なブックフェアや文学祭の開催があります。チェコ共和国最大の本の祭典である「Svět Knihy Prague」には、4日間で5万人を超える人々が訪れます。参加する出展者は400を超えます。毎年5月の4日間、800人近くの作家、挿絵画家、翻訳家、専門家、その他の書籍業界の関係者がこのフェアに参加します。

文学賞

2007年に初開催となった、チェコ系カナダ人の作家で出版者のヨゼフ・シュクヴォレツキーに因んで名付けられたこの賞は、過去12か月間に発表された中で最も優れたオリジナルの散文作品を表彰します。賞の目的は、文化的アイデンティティの柱として芸術的な散文作品を後押しすることです。賞金額は5万チェコ・コルナです。

「Jiří Orten Award(イジー・オルテン賞)」は、夭折の詩人イジー・オルテンを称えて1987年に創設されたチェコの文学賞です。作品の完成時点で30歳以下の作家のみが対象です。チェコ語の散文または詩で、応募期限の前年に出版された作品に授与されます。現在の賞金は5万チェコ・コルナです。

年に一度開催されているの「Magnesia Litera Book Award(マグネジア・リテラ文学賞)」の最も重要な任務は、制限なく、ジャンルを問わずに質の高い文学を奨励し、作家にも詩人にも翻訳家にも出版社にも研究者にも理論家にも、等しく注意が払われるようにすることです。そのためこの賞は、年間で最も優れた散文、詩、ジャーナリズム、翻訳、ブログなどのいくつかの部門に分かれています。あまりにも狭い専門分野に偏ることを避けるために、「Discovery of the Year(年間最優秀新人賞)」と「Book of the Year(年間最優秀図書)」の各部門の受賞者は、書籍業界で活躍する多様な回答者300人によって選ばれます。2002年に創設されたこの賞の賞金は20万チェコ・コルナです。

「Cena Franze Kafky(フランツ・カフカ賞)」は、2001年からプラハのSpolecnost Franze Kafky(フランツ・カフカ協会)によって授与されています。この国際文学賞の目的は、出自や国籍、文化に関わらず読者の心に訴えかける現代作家の作品を表彰することです。この賞では賞金1万ドルとプラハにあるカフカ像を小さくしたブロンズ像が副賞として贈られます。

翻訳賞

「Czech State Award for Translation(チェコ国家翻訳賞)」は、外国語からチェコ語への文学作品の翻訳に対して授与されます。大臣によって任命された審査員の推薦に基づいて決定され、チェコ共和国の文化省によって授与されます。賞品は賞状と30万チェコ・コルナです。毎年10月28日に「Czech State Award for Literature(チェコ国家文学賞)」とともに授与されます。

「Jaroslav Seifert Prize(ヤロスラフ・サイフェルト賞)」は、1986年1月にストックホルムのCharta 77 Foundation(憲章77財団)によって創設されたチェコの権威ある文学賞です。過去3年間にチェコ国内または国外で出版された重要な作品に対して授与されます。2013年から2年ごとに授与されています。賞金総額は10万チェコ・コルナです。

International Board and Books for Young People(IBBY、国際児童図書評議会)のチェコ支部が主催する「Golden Ribbon Award(ゴールデンリボン賞)」は、1992年に初めて授与されたチェコにおける児童書の中心的な賞です。毎年恒例のゴールデンリボン賞は4つの分野で授与され、さらに複数の部門に分かれています。そのうちの1つが翻訳です。挿絵の移動展示会、アートワークショップ、ディスカッション、作家による朗読などの付随プログラムを通じて、読解力の向上、本との関係の発展、子供の文化活動も支援しています。

文芸レジデンス

Arts Institute(アーツ・インスティテュート)の作家向けレジデンシープログラムは、「Visegrad Literary Residency Programme(ヴィシェグラード文学レジデンシープログラム)」と提携しています。その目的はヴィシェグラード諸国の作家をつなぐことです。場所はプラハで、対象となるのはすでに作品を1点発表している作家、詩人、翻訳者、または広く知られる新聞または雑誌に記事を3点寄稿しているジャーナリストです。また、ヴィシェグラード諸国の出身者である必要があります。レジデンシー参加者は、夏の場合は6週間で1,300ユーロ、晩秋の場合は2か月間で2,400ユーロの援助を受けることができます。

ユネスコの「Prague City of Literature(プラハ文学都市)」プロジェクトは、海外の作家と翻訳者にプラハでの滞在を提供します。募集期間は7月から8月末までで、無料の宿泊、旅費の払い戻し、月額約600ユーロの給付金が提供されます。作家はプラハに滞在しながらプラハに関連するプロジェクトに取り組むことになっています。

リトミシュル市は、探偵文学の作家が現在のプロジェクトに取り組むための文学レジデンシーを提供しています。この文学レジデンシーには、キャッスルヒルのアパートにおける1か月間の滞在と、毎月1,000ユーロの給付金が含まれます。さらに作家は現地の文化施設に無料で入場できます。リトミシュル市のための短編小説の実現と市立図書館での朗読会の実施が参加条件です。 

Czech Literary Center(チェコ文学センター)は、チェコ出身の翻訳者、海外のチェコ研究者、チェコ文化に関心のある文学研究者に向けて2つのレジデンシーを提供しています。レジデンシーの場所はブルノとプラハで、期間は3週間または4週間です。このレジデンシープログラムの目的は、現地の文学生活を経験して翻訳作品の作家と面会する機会、そして研究と創作のための時間と空間を提供することです。週に250ユーロが支給され、プラハまたはブルノの住宅アパートに宿泊できます。

ブロウモフ修道院の文学レジデンシーの対象は、チェコ国内外の作家と翻訳者です。プログラムの目的は、創造的なプロジェクトに集中するための空間を提供すること、そしてブロウモフ地域の文化的生活を活性化することです。レジデンシー参加者の懇談会や朗読会も企画されています。

最近日本で出版された
タイトル

『製本屋と詩人』

イジー・ヴォルケル(著)
大沼有子(訳)
共和国(2022)

『通達/謁見』

ヴァーツラフ・ハヴェル(著)
阿部賢一, 豊島美波(訳)
松籟社(2022)

『シブヤで目覚めて』

アンナ・ツィマ(著)
阿部賢一, 須藤輝彦(訳)
河出書房新社(2021)