オランダ

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記事

オランダは長きにわたる貿易の歴史を持つ国であるし、オランダ語はヨーロッパの言語のなかでは「小さい」ものに属するので、オランダの読者は翻訳を通して、あるいは外国語で文学を読むことに慣れ親しんでいる。

インタビュー

三浦富美子はロッテルダム(オランダ)在住の作家・日本語教師です。2023年初頭にオランダ語で初の著書『Polderjapanner』を出版しました。インタビューでは、本を書く動機やオランダでの日本文化の認識について語っています。

ブックフェア/文芸
フェスティバル

「Crossing Border」は、ヨーロッパで歴史ある革新的な音楽・文学フェスティバルであり、オランダを代表する国際フェスティバルです。1992年以降、音楽・文学界の著名なアーティストを迎えるとともに、オランダ国内外の新進気鋭の若手アーティストを紹介してきました。毎年11月、歴史有る街、ハーグに80人以上の現代作家、詩人、音楽家、朗読パフォーマー、様々なアーティストが集い、12以上の会場で、様々な分野や アートを融合さ せた、記憶に残るフェスティバルを開催。
アントワープ開催は、ハーグ開催と同じ週に行われ、De Studio、Arenberg、Trix、Antwerpen Boekenstadの協力のもと開催される。

6月の数日間にわたって開催される「Poetry International Festival in Rotterdam(ロッテルダム国際ポエトリー・フェスティバル)」は詩の祝典であり、多様な詩の形式を通じた感動、取り組み、実験に焦点を当てています。世界中の詩人が集い、テーマ別特集、トークショー、朗読会、映画、ワークショップ、アフターパーティーなどが行われます。主な会場は劇場のLantaren VensterとVerhalenhuis Belvédèreです。

「Read My World」は、世界中の書き言葉と話し言葉のための主要なプラットフォームです。作家と語り手、読み手と聴き手、出版社と翻訳者の出会いの場を創出します。この団体は国際的なキュレーターや編集者と協力して、9月にアムステルダムのTolhuistuinで開催される国際文学フェスティバルを立ち上げました。このプログラムは毎年、大きな社会的変化が起きている世界中のさまざまな地域に焦点を当てます。

毎年恒例のハーグ市の「Winternachten International Literature Festival(Winternachten国際文学フェスティバル)」は、街のあらゆる場所で開催されます。1月の4日間、世界中の100人を超える作家、詩人、パフォーマー、思想家、若い才能がこの街を訪れます。オランダ国内外の作家、詩人、スポークン・ワード・アーティスト、ミュージシャンによる、トーク、インタビュー、朗読、音楽、映画イベントなど、来場者は多様なプログラムから選んで自分だけのルートを選択できます。

「ILFU」は毎年恒例のフェスティバルであり、日常的なオンライン文学プラットフォームです。「International Literature Festival(国際文学フェスティバル)」は最高の作家をユトレヒトに招き、依頼した作品をフェスティバルのプラットフォーム上で発表します。「ILFU」の使命は文学の重要性を示すことです。秋の2週間のプログラムで「ILFU」はあらゆる文学表現を探求し、あらゆる種類のパートナーと提携します。

文学賞

「Griffels and Brushes」は、12歳までを対象とする児童書の、最も重要な審査員賞です。1971年に「Golden Griffel」、1973年に「Golden Brush」が立ち上げられました。最も優れた児童・青少年文学には毎年「Griffels」が、最も美しく描かれた絵本には「Brushes」が授与されます。

Committee of Ministers of the Dutch Language Union(オランダ語連合閣僚委員会)は3年に1度、オランダ語文学で重要な位置を占める作品の著者に「Dutch Literature Prize(オランダ文学賞)」を授与します。受賞作家はベルギーとオランダの王室のメンバーから交互に賞を授与されます。この賞は、詩、散文の物語または演劇ジャンルの作家の全作品に授与されます。

「P.C.Hooft Prize for Literature(P.C. ホーフト文学賞)」は、作家の全作品を対象とする最も重要なオランダの文学賞です。この賞は毎年、散文の物語、散文の思索、詩に交互に授与されます。生涯の業績に対して贈られるこのオランダ語文学賞は、17世紀のオランダの詩人で劇作家のピーテル・コルネリスゾーン・ホーフトに因んで名付けられました。

1948年に創設されたオランダの文学賞「Jan Campert Prize」は、詩の作品に対してJan Campert Foundation(Jan Campert財団)によって毎年授与されています。この財団は、オランダのレジスタンス活動の象徴であるJan Campertを称えるために1948年に設立されました。

「Constantijn Huygens Prize(コンスタンティン・ホイヘンス賞)」は1948年に創設された毎年恒例の賞です。ハーグ市の自治体を代表してJan Campert-Stichting(Jan Campert財団)が授与する最も重要な文学賞です。Literatuurmuseum(文学館)が主催する授賞式は通常1月に行われます。

翻訳賞

オランダ文学財団の翻訳賞は、翻訳作品の質の高さだけでなく、言語地域やジャンルや文芸翻訳全般のアンバサダーとしての取り組みの面でも際立つ文学翻訳者に授与されます。オランダ語への翻訳には毎年賞が授与され、オランダ語から他の言語への翻訳者にも偶数年に賞が贈られます。賞金はそれぞれ1万5,000ユーロです。

「Filter Translation Prize(フィルター翻訳賞)」は、毎年10月の「ILFU(International Literature Festival Utrecht、ユトレヒト国際文学フェスティバル)」期間中にFilter Foundation(フィルター財団)によって授与されます。翻訳対象作品固有の特殊性から生じる翻訳上の問題を解決する、翻訳者の創造性を称える賞です。フィルター翻訳賞の受賞者と、児童・青少年図書フィルター翻訳賞の受賞者には、どちらも1万ユーロが贈られます。

Dutch Foundation of Literature(オランダ文学財団)が主催する「Brockway Prize(ブロックウェイ賞)」は、オランダ語から他の言語への詩の翻訳者の全作品を称え、隔年で授与されます。2001年に亡くなった詩人で翻訳家のジェームズ・ブロックウェイの遺産を資金源として、賞金5,000ユーロが授与されます。

「Vondel Translation Prize(フォンデル翻訳賞)」は、オランダ語文学または文化史作品の最も優れた英語翻訳を隔年で表彰する賞です。賞金は5,000ユーロです。オランダ文学財団がFlanders Literatureと共同で主催しています。

「European Literature Prize(ヨーロッパ文学賞)」は、前年にオランダ語の翻訳で出版された最も優れたヨーロッパの現代小説に毎年授与されます。賞は作家と翻訳者の両方に贈られます。作家には1万ユーロ、翻訳者には5,000ユーロが授与されます。

文芸レジデンス

Netherlands Institute for Advanced Study in the Humanities and Social Sciences(NIAS、オランダ人文社会科学高等研究所)は、実績ある研究者と若手研究者のために、学際的で好奇心に基づく研究の奨励に尽力しています。アムステルダムのNIASのライター・イン・レジデンス・プログラムは、NIASとオランダ文学財団の共同イニシアティブです。

作家、詩人、文学翻訳者は、ベルゲンのRoland Holsthuisを仕事場として1か月間借りることができます。「Bert Schierbeek Fund(Bert Schierbeek基金)」は、文学史に独自の存在感を示すこの場所で落ち着いて仕事に取り組む機会を提供しています。毎年丸1か月間は、読者の審査によって選ばれた「BNG Bank Literature Prize(BNG銀行文学賞)」の受賞者のために確保されています。

Amsterdam Vluchtstadは1997年以来、著述のために自国で迫害されたり、脅迫されたり、その他の方法で執筆を妨害されたりしている作家、詩人、ジャーナリストに一時的な(多くの場合1年間)宿泊施設を提供しています。Amsterdam Vluchtstadのアパートは、かつてアンネフランクが日記を書き始めたフランク家の旧宅にあります。

2006年以来、オランダ文学財団はライター・イン・レジデンスとして海外の作家をアムステルダムのSpuiに迎えています。応募できるのは、オランダの出版社によって作品がオランダ語に翻訳された著者だけです。プログラムの対象は小説家、詩人、児童書作家です。主にヨーロッパの作家を対象とするプログラムですが、ヨーロッパ以外の作家が除外されるわけではありません。レジデンシーの期間は4週間から6週間程度です。

The Chroniclesは、Crossing Borderが毎年実施している、作家と翻訳者のためのレジデンス・プロジェクトです。フェスティバルの開催期間中、新進気鋭のライターがその日の出来事をブログで綴り、Crossing Borderのアーティストの体験や見識を記録します。また、翻訳者は並行して翻訳を行い、会場では通訳を行います。作家と翻訳者、双方の技術と才能を示すとともに、このプロセスがいかにして行われるかを紹介するのが目的です。作家たちは、フェスティバル開催前に1本の記事を書き、11月2日、3日、4日の各日に1本ずつ、そして最後にもう1本、「Crossing Border」での経験を締めくくる記事を書きます。

最近日本で出版された
タイトル

『不快な夕闇』

マリーケ・ルカス・ライネフェルト(著)
國森由美子(訳)
早川書房(2023)

『イノチノウチガワ : X線写真で見る生き物の世界』

ヤン・パウル・スクッテン(著)
アリー・ファン・ト・リート(写真)
野坂悦子, 薬袋洋子(訳)
実業之日本社(2022)

『襲撃』

ハリー・ムリシュ(著)
長山さき(訳)
河出書房新社(2023)