ベルギー

Gent, Belgium, public library, centre for knowledge, creativity and innovation, exterior

記事

「ベルギー語」は独立した言語ではない。従来のフランス語に代わる言語でもない。「ベルギー語」は、単語とイメージで読まれ、雨だろうが眩しいばかりの晴天だろうが、 (自らを)笑い、罵ったりブツブツ言ったりすることができる言語だ。どこかズレたフランス人として自ら進んで 嘲笑されながらも、ベルギー語は作家に信じられないほどの表現の幅を提供する。作家たちは 「パリのサロン」から解放され、疑いなく、より不安定ながらも、はるかに実りの多い道を切り開くことができるのだ。

インタビュー

ブックフェア/文芸
フェスティバル

以前は「Fête de la BD」だった「BD(Bande Dessinée)Comic Strip Festival(BD(バンド・デシネ)コミック・ストリップ・フェスティバル)」は、2010年からブリュッセルで9月に開催されている、コミック・ストリップの祭典です。BDコミック・ストリップ・フェスティバルには、コミックに焦点を当てた、展示、集い、サイン会、ガイド付きツアー、カンファレンス、ゲーム、「Atomium Prize(アトミウム賞)」の授与といったプログラムが用意されています。

国際文学館であるPassa Portaは、他に類のない多言語の集いの場です。Passa Portaは2年ごとに国内外の作家、思想家、芸術家約100人をブリュッセルに招いています。「Passa Porta Festival」は、ヨーロッパにおいてこの規模で開催される唯一の多言語文学イベントです。街のあちこちで、作家や読者が経験を共有するために集います。

「Poetik Bazar」は複数の非営利団体が共同で主導するプロジェクトであり、その目的は詩人、芸術家、出版社を通じて、世代を超えた読者に現代詩を広めることです。ワークショップ、集い、朗読会、サイン会などのイベントから成る充実したプログラムを通じて、来場者は現代詩シーンに溢れる活気を再発見できます。フェアはブリュッセルのLes Halles de Schaerbeekで開催されます。

4月に開催される「Brussels Book Fair(ブリュッセル・ブックフェア」は、読書を奨励する非営利団体としての社会的責任を意識しながら、本にまつわる障壁の排除に尽力しています。フェアのプログラムは、文学へのアクセスが必ずしも保証されていない読者を対象としています。作家、挿絵画家、出版社、卸業者、書店、評論家、図書館員、読者など、書籍業界に携わるあらゆる人々が、会場となるTour & Taxis(ブリュッセルの大規模工業用地)に集まります。

「L’intime」フェスティバルは文学だけでなく、写真、音楽、視覚芸術、映画との交点にも焦点を当てます。コメディアン、挿絵画家、音楽家、作家などの専門家がそれぞれの分野を紹介します。アーティストのブノワ・ポールヴールドが立ち上げたこの学際的なフェスティバルは、ナミュール市内の複数の場所で開催されます。

文学賞

1971年に創設された「Prix Saint-Michel(サン・ミッシェル賞)」は、漫画に焦点を当てたヨーロッパで最も古い賞の一つです。2002年からは、ブリュッセルのコミック・フェスティバルの組織チームがこの毎年恒例のイベントの組織を引き継ぎ、サン・ミッシェル賞もフレッシュに生まれ変わりました。漫画業界のあらゆる部門の専門家で構成される現在の委員会は、年に数回会議を開いてこのイラストで表現される文芸の主要な動向を評価し、作家と作品を表彰しています。

1938年にヴィクトール・ロッセルを記念して「Le Soir」紙によって創設された「Prix Victor Rossel(ヴィクトール・ロッセル賞)」は、ベルギーの小説や短編集に授与される最も権威ある文学賞です。2001年には青少年の審査員によって「Prix Victor Rossel de jeunes」が授与され、2019年からはコミック・ストリップを対象とする「Prix Victor Rossel de la bande dessinée」が授与されています。ヴィクトール・ロッセル賞の受賞者には5,000ユーロとRoyerによるリトグラフが贈られます。

1924年に創設されたワロン・ブリュッセル連盟の文学賞は、デビューしたばかりの作家とすでに実績のある作家の両方を表彰します。フランス語と地域言語の一般的な文学形式に加えて、ワロン・ブリュッセル連盟は漫画と児童文学にも賞を授与しています。賞にはそれぞれ独自性があり、提案する審査員は当該分野のエキスパートや専門家で構成されます。

1997年に初めて授与された毎年恒例のこの賞は、文学のジャンルを問わず作品を初出版した作家に贈られます。フランス語で自己表現する作家の作品を世界中に広めることを目指し、Association of French-language Writers(ADELF、フランス語作家協会)が授与しています。賞金は5,000ユーロです。

1920年に設立されたAcadémie royale(王立アカデミー)は、地域社会、国内、国際レベルで知的生活を支える重要な組織です。Royal Academy of French Language and Literature of Belgium(ベルギー王立フランス語文学アカデミー)は毎年、複数の部門で文学賞を授与しています。特に詩、散文、進歩的な文学作品全般を表彰します。

文芸レジデンス

La Bellone(ラ・ベローヌ)では、あらゆる文学分野で複数のレジデンシーを提供しています。劇作、研究、創作、執筆のためのレジデンシーが用意されています。学校を卒業するアーティスト、若手アーティスト、実績あるアーティストなど、すべてのレジデンシー形式で多様な地位のアーティストが対象となります。レジデンシーの参加者には一人ひとりの具体的なニーズに応じてワークスペースが提供されて昼食が賄われ、Documentation Centre(資料センター)およびラ・ベローヌのチームとの協力関係が築かれます。

フランス語を話すベルギー人文学の翻訳を奨励してベルギー人作家の海外での活躍を促進することを目指す、ワロン・ブリュッセル連盟の支援を受けるこのレジデンシーは、世界中の翻訳者に理想的な環境を提供します。滞在期間は2週間から1か月間です。

国際文学館であるPassa Portaは、ブリュッセルの詩、芸術、文化を支える文化施設です。Passa Portaでは毎年海外の作家9人にブリュッセルでのレジデンシーを提供しています。施設では、文学プロジェクトや執筆に取り組むための理想的な環境を作り上げています。作家は広々としたアパートに最低4週間、最長8週間滞在することができ、ベルギーの文化生活と文学館のネットワークに参加します。

「Maison de la poésie d’Amay」は、世界中の詩人のために2週間から2か月間滞在できるレジデンシーを主催している非営利団体です。プログラムの目的は、詩のプロジェクトに専念する機会を作家に提供することです。レジデンシー中の作家には仕事場が提供されます。新しいアイデアだけでなく、完成に近いプロジェクトも受け入れています。

2009年、ワロン・ブリュッセル連盟はRoyal Museum of Mariemont(マリーモン王立美術館)と共同でCED-WB(Centre des écritures dramatiques Wallonie-Bruxelles、ワロニー・ブリュッセル劇作センター)に演劇執筆レジデンシーの文化的・実践的管理を委託しました。マリーモンのレジデンシーは主に2週間から8週間にわたってマリーモン美術館に近い場所で劇作家を(ベルギーまたは海外から)受け入れます。

最近日本で出版された
タイトル

『原爆 : 科学者たちは何を夢見たのか 上』

ディディエ・アルカント, L.-F.ボレ(脚本)
ドゥニ・ロディエ(絵)
大西愛子(訳)
平凡社(2023)

『私にぴったりの世界』

ナタリー・スコヴロネク(著)
宮林寛(訳)
みすず書房(2022)

『マルペルチュイ : ジャン・レー/ジョン・フランダース怪奇幻想作品集』

ジャン・レー/ジョン・フランダース(著)
岩本和子, 井内千紗, 白田由樹, 原野葉子, 松原冬二(訳)
国書刊行会(2021)